今回は、『黄金の60年』と呼ばれた1960年代の歴史やファッションを、ざっくりと解説していこうとおもいます。
特に1950~60年代は、アメリカが最も繁栄した黄金時代といわれていますので是非、ご覧下さい。
時代背景
国家に対する民衆運動
1960年代のアメリカは,民衆が国家に対抗した時代でした。
具体的な対抗
- 反核運動
- ベトナム反戦運動
- 公民権運動(黒人の権利獲得)
- 同性愛者解放運動
主に学生を中心とする民衆が国家や社会のシステムを疑いその変革を求めました。
何故こういう運動が起きたのか?そこには『価値観の転換』があります。
価値観の転換
どういった価値観が転換したのか
- 黒人は白人と平等であること
- 女性は男性と同じ権利があること
- 若者に自由があること
今となっては当たり前の考えですが、1960年代以前は違いました。
当時の若者達は『昔の考え方や慣習』は間違っていると国家に宣言して対抗しました。
そして、ベトナム反戦運動をきっかけに多くの若者がヒッピーなどの『カウンター・カルチャー』(アメリカの伝統的な制度、価値観に反発した文化)に身を置いたのもこの時代です。
カウンターカルチャーの発展
当時は戦後の豊かさのおかげで、色んな物が満たされた時代でしたが、内面的に不満を抱えた若者が多くいました。
不満の原因はざっくり言うと、親世代との考え方や価値観が合わないからです。
当時の親世代は、大恐慌と戦争を経験しているため、物質的豊かさに最大の価値を置いていました。
そんな親とは違い、戦後の豊かさを経験しているベビーブームで誕生した若者たちは、物質とは違う価値観へ関心が向きました。
また、この1960年代は、戦後大量消費社会とマスメディアが広がり、特に全員が同じ振る舞いを行うことに価値が置かれていた時代です。
そういう背景もあり、主流社会や文化に合わせて生きるということへ疑問と反発心がありました。
ビートルズやボブ・ディランなどの音楽はそんなカウンターカルチャーに影響を与えました。
ヒッピー
ヒッピーとは、自然への回帰を主張し,伝統的な制度と既成の価値観を否定する若者のことであり、一種のムーブメントです。
1960年代後半にアメリカで生まれ、世界中に流行しました。
ちなみにヒッピーは、別名『フラワーチルドレン』と呼ばれていました。
『フラワーチルドレン』
由来は、激しさを増すベトナム戦争に反対し、『武器ではなく、花を』をスローガンに、花を愛と平和の象徴としたことから来ています。
ヒッピーの外見的特徴
ヒッピーの外見的特徴は、ベルボトム・ジーンズと長髪です。
さらに独特の色彩と柄のシャツや民族的アクセサリーをしており、見た感じラフな格好をしています。
ヒッピーの外見的特徴
- ベルボトム・ジーンズ
- 長髪
- 独特の色彩と柄のシャツ
- 民族的アクセサリー
ちなみにベトナム戦争の反戦活動の流れで生まれたのがヒッピーですが、日本でも、この頃ヒッピーに似たフーテンという存在が流行っていました。
ヒッピーとフーテンの大きな違いは、フーテンは、ただ薬物中毒でラリっていただけで文化らしいものは、寅さんくらいです。
寅さんが、ラリっているわけではないですよ
ベルボトム
1960年代以降、アメリカのヒッピー文化の代表的なファッションスタイルの一つとして定着しました。
また、ただ単にジーンズだけではなく、プレスラインの入ったスラックスやプリント柄のものも多く生産されました。
当時のアメリカのロックスターであるエルヴィス・プレスリーがベルボトムのパンツを使用し話題となります。
ちなみに日本では、60年代終わり頃からベルボトムが流行してパンタロンという名前で愛されていました。
ヒッピーが残した文化
ヒッピーは、たくさんの文化を世に残しました。
特にヒッピーが生んだファッション、音楽、美術などの文化は色んな人に影響を与えたと言われています。
当時、ビートルズのサージェント・ペッパーズは、マシュルームカットでしたが、だんだんと長くなり60年代後半では肩より長い髪の長さでした。
芸術では、サイケデリックという幻覚をモチーフにしたようなアートが生まれました。
イージーライダー
当時の自然や雰囲気が知りたいならこの映画ですかね。
撮影が行われたのは68年で、アメリカでは、ご存知の通り、べトナム戦争が激化し、若い兵士たちが戦場に駆り出され、その命を失っていた時代です。
国内では反戦運動が盛り上がり、これまでの伝統的な制度と既成の価値観に疑問を唱える声が次々とあがりました。
あえて社会をドロップアウトして、愛と平和を重んじるヒッピーたちも現われました。当時の若者が求めていたのは『自由』と『解放』。
『イージー・ライダー』の気ままに旅する主人公たちに、当時の若者達は、重ねながらみていたのかもしれません。
まさに、1969年という時代の空気を映し出した映画です。
『Mods(モッズ)』
イギリスでも新しいカルチャー『Mods(モッズ)』が生まれます。
Modsは、イギリスの若者に流行したカルチャーであり、背景に音楽とファッションがあります。
1950年代に流行ったモダン・ジャズの演奏者やファンを『モダニスト』と呼んだものが『モッズ』と短縮されたことが由来となり一般的に呼ばれるようになりました。
当時、Modsと呼ばれる人たちは、R&Bやソウル・ミュージック、スカなどを好み、クラブに集まり、ダンスをしてファッションやバイクを見せ合って楽しんでいました。
モッズの特徴
- 髪をおろしたモッズカット
- 細身のスーツにレザーシューズ
- ミリタリーパーカー
- 多数のミラーやライトでカスタムされたスクーター
モッズコート
モッズコートの始まりは、ロンドンの若者がファッションに取り入れたことからきています。
元々は、米軍のアウターですがファッションに取り入れられるようになった納得の理由があります。
それは、美しいスーツがバイクで汚れないようにするためです。
スーツが汚れるからバイクではなくスクーターに乗り、そこからさらにスーツを汚さないようにモッズコートを着るようになりました。
どれだけスーツ汚したくねぇんだよって感じですよね。
まー確かにクラブに遊びにいってスーツが汚れていたらテンション下がりますね。
スクーターも差別化を図るために、ミラーやライトを過剰にカスタムしたものや、全てのパーツを取り払ったバイクなど様々なバイクが出現するようになります。
1960年代の終わり
1960年代のカルチャーは国境を越えて、さまざまな形で私たちが暮らしている現代へとつながっていると感じます。
それは物だけではなく考え方や文化。
特にカウンターカルチャーは考えさせられる所が多いですね。
そして1960年代は、戦争とは対照的なヒッピーの存在が独特で興味深い。またくわしく記事にしたいと思います。