今回は、『黄金の50年』と呼ばれた1950年代の歴史やファッションを、ざっくりと解説していこうとおもいます。
特に1950~60年代は、アメリカが最も輝いていた時代といわれています。
1950年代の時代背景
冷戦の始まり
第二次世界大戦が終わり、1950年代に入ったアメリカは,戦勝国として好景気となりました。
そして1950年代は、新しい世界構造として冷戦の時代となっていきます。
アメリカとソ連は世界の主導権を握ろうと水面下で争った結果、アメリカは世界の覇権国家として君臨します。
そしてパクスアメリカーナの時代が始まりました。
パクスアメリカーナ
パクスとはラテン語で、平和と訳します。
そして、パクスアメリカーナとはアメリカによる平和という意味になります。
由来は、世界史上でローマによる統治が長期の平和と繁栄をもたらしたことが、『ローマの平和(PaxRomania)』と呼ばれていたことからです。
家電製品の普及
1950年代、パクスアメリカーナの時代には、高級車を乗り回し、掃除機、洗濯機、トースター、ミキサー、アイロンなどの家電製品が普及しました。
そして余った時間は芸能や文化の面に費やされ、大きく発展していきます。
機械のお陰で、家事に費やす時間が少なくなりかなりの時短となりました。
アメリカ黄金期を象徴するテールフィン
50年代を象徴するものとして思い浮かべるのはテールフィンと答える人も少なくないと思います。
最初に採用されたテールフィンは、控えめなデザインですが、反響を呼び各メーカーがこぞって採用し、年々巨大化を競うようになりました。
そして、アメリカで流行っていた長くて高いテールフィンは世界中のカーデザインに影響をもたらしました。
テールフィン絶滅
しかし、1959年を最後にテールフィンは小さくなっていき1960年代後半になるとテールフィンはアメリカ車から完全に姿を消します。
一説には、消費者団体から「過剰な装備とクロームの装飾が自動車の価格の高騰を招いた」という指摘を受けたためだと言われています。
インダストリアル
1950年代は、デザインが商業的に重要視されたことが大きな特徴です。
当時のアメリカでは、インダストリアルデザインが注目されて、デザインされた多くの製品が造られるようになりました。
ちなみに『インダストリアル=industrial』は直訳で『工業用』を意味します。
レイモンド・ローウィ
インダストリアルの草分け的存在としてレイモンド・ローウイというデザイナーがいます。
『口紅から機関車まで』というキャッチフレーズで知られる20世紀を代表するアメリカのインダストリアル・デザイナーです。
主にデザインしたロゴ
- ケネディ大統領が乗っていたエアフォース・ワン
- タバコ『Peace』『ラッキーストライク』
- お菓子『ナビスコ』
他にもたくさんの日用品や工業機械などのデザインをしています。
流線型
1950年代は、車両や眼鏡や扇風機、照明などの製品は、ほとんど流線型でデザインされました。
イームズ夫妻がデザインしたハーマンミラーのシェルチェアーも有名です。
映画スター
娯楽の世界では、テレビが登場し瞬く間に普及していきました。
テレビの登場によって、アメリカでは、リビングの中心にはテレビ、周りにソファーが置かれるという具合にライフスタイルも変化していきます。
そして、一家団欒はテレビの周りで行われていくようになりました。
テレビの影響で映画は縮小されると考えられていましたが、まだまだ健在でした。
何故ならカリスマ的なスターが誕生しており、そのスター達に若者は熱狂していたからです。
1950年代を代表する映画スター
- マリリン・モンロー
- ジェームス・ディーン
- マーロン・ブランド
ロックスター
ロックンロールが始まる
音楽の世界では、ロックの神様、エルビス・プレスリーの登場で新しい時代を迎えていました。
ロックンロールは、この時代に始まりました。
当時はその熱狂ぶりに大人達は、プレスリーに非難を浴びせていましたが、若者達はプレスリーの音楽に魅了されました。
アイビーリーグ
アイビーリーグとは
1954年のアメリカにおいて、以下、8つの私立大学の総称をアイビーリーグと言います。
- ハーバード大学
- ブラウン大学
- プリンストン大学
- ダートマス大学
- イェール大学
- コーネル大学
- ペンシルベニア大学
- コロンビア大学
ちなみに8つの大学のカレッジスポーツ連盟の名称も『アイビーリーグ』と呼ばれています。
アイビールック
ファッションスタイルの一つに『アイビールック』という紳士的なスタイルがあります。
アイビールックの定番スタイル
- 髪型は七三分け
- ボタンダウンシャツ
- 三つボタンのブレザー
- コットンパンツ
- ローファー
アイビーリーグに所属する学生たちが好んだファッションスタイルを国際衣服デザイン協会が『アイビールック』と名付けたことが始まりと言われています。
その語源は大学の校舎壁に茂っている「蔦(アイビー)」が由来と言われ、大学のシンボルとその学生たちのアイデンティティーがファッションとして昇華された一つの文化です。
またハーバード大学を卒業したJ・F・ケネディのブレザースタイルがメディアに取り上げられたこともアイビールックが流行したきっかけになったとされます。
VAN JACKET
日本初のファッションブランド『VAN JACKET(ヴァンジャケット)』は、アイビールックの影響を受けています。
日本での、アイビールックはヴァンジャケットとともに日本の若者にも徐々に広まっていきます。
1960年代前半から着崩したアイビールックで銀座みゆき通りにたむろする『みゆき族』と呼ばれるストリートカルチャーが社会現象を引き起こしました。
1950年代の終わり
華やかな1950年代は、どことなく『狂騒の1920年』に似ていると感じるのは僕だけではないですよね?その後の展開も似ている部分を感じるはずです。
ちなみに1960年代も黄金期と呼ばれています。